潜在層へのアプローチ(前編)では、現在多くの企業様が抱える採用課題が生まれている背景とそれに対する解決策として潜在層へのアプローチ必要性をお伝えさせていただきました。

クラウドサービスの普及によって広がったSaaSビジネス、分散型インターネットとして注目を浴びるWeb3.0、AIを活用したChatGPTの大流行など様々な領域で日々革新的な技術開発をもとにアップデートが進んでおり、長年進化のなかった日本の採用市場においても、ジョブ型雇用の推進やデジタル人材の希少価値向上などを受け、直近新しい手法が注目を浴びています。

そんな新しい採用手法として取り組むべき「転職潜在層」採用に関して、当記事、潜在層へのアプローチ(後編)では、転職潜在層の採用実現に向けての具体的なHow toをお伝えさせていただきます。

今後は、ますます既存手法のみで続ける企業と新しい手法への切り替え、もしくはハイブリッドで行う企業とで差が広がっていくことが予想されますので、ぜひこの記事をお読みいただき、何か採用課題の解決に向けてお役立ちできることがあればとても嬉しく思います。

転職潜在層の採用成功に必要なこと

そもそも転職潜在層とはどのような候補者なのかご存知でしょうか。

加えて、これまで中途採用でアプローチしてきた転職顕在層の採用と比較して、選考フローではどのようなことが必要になってくるのでしょうか。

転職潜在層とは

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転職潜在層とは、転職の意欲はあるものの具体的なアクションを起こしていない層を指し、具体的に、下記のような状況の候補者がいます。
・転職は検討しているが、現職の都合ですぐにはできずゆくゆくは転職することを考えている
・現職に強い不満はないが、良い案件があれば転職を検討する

「転職潜在層はすぐの転職を考えていないため、一度繋がってから採用に至るまでの時間が長い。ナーチャリングが大変そう。」という印象を持たれることも多いですが、実はそのような候補者の割合は限られており、「転職活動を行なっていないものの、良い案件があればすぐにでも転職は可能」と考えている候補者の比率の方が多いことがわかっています。

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このような転職潜在層は顕在層と比較して母集団が圧倒的に多く、かつ選考時の競争が少ないため、辞退率が低い,内定承諾率が高いというような特徴もあります。

アプローチ方法

一方で、転職潜在層は実際に転職活動を行なっていないため、企業側からそうした人材を見つけるのは簡単ではありません。実際に、ほとんどの企業様から、「潜在層採用を強化したいものの方法がわからない」というご相談をいただいております。

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メールマガジンやリファラル採用など、いくつか方法がある中で最近注目を集めているのが、SNSとダイレクトリクルーティングを掛け合わせたソーシャルリクルーティングです。

ユーザーの多いFacebookやTwitter、ビジネスSNSのLinkedinやWantedly、開発プラットフォームでありながらSNS機能を併せ持つGithubなど、プロフィールURLを知っていれば誰でも検索及びコミュニケーションが可能なSNSを活用し採用活動を行うことで、転職サイトへまだ登録していない候補者及び登録する必要がないと考えている優秀層へのアプローチも実現します。

採用手法

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■認知
企業として、転職潜在層へのアプローチから採用成功を実現するためには、これまでの採用手法(ファネル:応募・選考〜内定)に加えて、採用認知〜興味・関心ファネルに紐づく採用マーケティングチャネルの形成も行う必要があります。

ターゲットとなるペルソナに自社を知ってもらうために、領域の被らない求人媒体の選定、採用イベント開催、人材サービス会社への営業、SNSアカウントの作成及び醸成、広告発信などを行います。

■興味・関心
認知を広げる施策を実行し、ターゲットとなるペルソナと繋がりが増えてきたら、次に、より深く興味・関心を持っていただくためのナーチャリングを行います。
具体的な施策)
採用HPの強化、コンテンツ作成、動画配信、SNS投稿など

初回面談では、興味・関心を強め、選考に進むことを後押しするために、
・候補者のポジションやレイヤーに応じて適切な面談担当者をアサイン
・見極めのヒアリングメインではなく、細かい事業や組織の説明をする
など、現在の選考内容を見直しする必要があるかもしれません、

■応募・選考
転職緊急度が高くない候補者、そして転職活動を行っていない優秀人材から自社に興味を持ってもらうためには、通常のスカウトメールよりもカスタマイズ性,個別化を強める必要があります。

応募があった際でも、すぐの転職が難しい候補者は、顕在化するタイミングを逃さないように、自社タレントプールとして管理し、定期的なコミュニケーションを続けなければいけません。
引き続き個別連絡や発信を続け、興味・関心を強め続け、いざ転職が検討できるタイミングで第一想起となる状態を目指します。

ポイント

■戦略的な採用活動
近年、営業活動でもひたすら電話をし続けることや受注をゴールとしたやり方から、LTVやチャーンを重要指標として、ターゲット企業への個別最適アプローチやマーケティングでも認知形成から興味・関心を高めナーチャリングをしながらコールドリードをホットリードへ繋げる手法が主流となっています。
採用活動でも同じように、候補者のタイミングと運に任せた採用活動を脱却し、セールスにおけるマーケティング概念を取り入れた戦略的な採用活動が今後は必要になっており、実際に採用マーケティング手法を実施している企業は採用成功を実現しています。

■目標指標、体制
また、転職顕在層と転職潜在層とでは特徴が大きく異なり、候補者の認知や興味段階から追うことになることから、必然的に前段階に追うべき人事担当者のKPIをズラす必要やそれぞれに担当者を置くなど採用体制を変更することも検討しなければいけません。
(自社タレントプール数→〇〇名、潜在層からの選考獲得→〇〇名など)

指標や候補者データの分析、狙うターゲット層ごとへのカスタマイズアプローチなど戦略的な採用活動の行うにあたって、新たに直面する人事担当者の業務幅が広く労働時間が長いといった課題を解決するために、採用領域におけるリクルーティングオートメーション(Recruiting Automation)の流れも注目を浴びており、採用MAやCRM、タレントプール機能を持つサービスの導入も検討すると良いでしょう。